データ通信専用(データのみ)eSIMは、音声通話やSMS機能を持たない「インターネット通信に特化」したeSIMです。eSIMなので、物理SIMの差し替えが不要で、オンライン手続きだけで使い始められる手軽さが魅力です。
本記事では、音声通話eSIMとの違い、できること/できないこと、向いている人などをわかりやすく解説していきます。サブ回線や海外用、タブレットで、データ通信専用eSIMを使うことを検討している方は参考にしてみてください。
1 データ通信専用eSIMと音声通話eSIMの違い
同じeSIMでも「データ通信専用」と「音声通話付き」では使える機能が大きく異なります。選び間違えると、SMS認証や緊急通報ができなくなってしまいます。
データ通信専用eSIMは、基本的にインターネット接続だけが可能で、電話番号を使った携帯電話の発着信(090/080/070)や、SMS(ショートメッセージ)は非対応です。
音声通話eSIMは、データ通信に加えて通話とSMSが使えます。さらに本人確認や各種サービスのSMS認証、緊急通報など「電話番号が前提の機能」をカバーできるため、スマホの主回線として使うなら音声通話eSIMが基本になります。
データ通信専用eSIMは、サブ回線におすすめです。安価にギガ数を増やしたい場合や、タブレットや海外用のSIMで利用するのに最適です。通話やSMSは既存の回線で担保し、データだけを安価に追加する、海外やタブレットで短期利用するなど、用途に合わせた使い方ができるようになります。
データ通信専用eSIMは、後から音声通話やSMSを追加できないため、用途を確認してデータ通信専用eSIMと音声通話eSIMの契約間違いに注意しましょう。
2 データ通信専用eSIMでできること
データ通信専用eSIMは、主にインターネット接続に利用できるサービスです。日常的なWeb利用はもちろん、端末や契約内容によっては、申し込み後すぐに利用を開始できるなどの利便性もあります。eSIMなので物理SIMの配送を待つ必要がなく、必要なタイミングで回線を開通できます。
デュアルSIMで利用する場合は、「どの回線でデータ通信を行うか」を設定しておくと、より安定した運用がしやすくなります。
例えば、データ通信専用eSIMをインターネット接続に割り当て、音声通話用の回線と分けて使う方法ができます。
Web閲覧・動画視聴
ブラウジングやSNS、動画ストリーミングなどのデータ通信を利用するサービスは、データ通信専用eSIMでも問題なく利用できます。
高画質の動画を長時間視聴する場合や、クラウドに大量のデータをアップロードする場合は、データ消費が多くなる傾向があります。
そのため、契約前にご自身の利用用途を基準に、必要なデータ容量の目安を考えておくと安心です。
テザリング
データ通信専用eSIMでも、端末が対応しており、かつキャリア側で制限が設けられていない場合は、テザリング機能を利用できます。
テザリングを使うことで、スマートフォンの回線をほかの機器(パソコンやタブレットなど)に共有できるため、外出先での作業やオンライン会議などにも活用できます。
また、サブ回線として用意しておくことで、主回線のデータ容量を節約したい場合にも役立ちます。
ただし、テザリングはデータ通信量が増えやすい点には注意が必要です。
パソコンのOSアップデートやクラウド同期が自動で実行されると、想定以上にデータを消費することがあります。
そのため、利用時には端末側の自動更新設定やバックアップのタイミングを見直しておくと、データ容量の使いすぎを防ぎやすくなります。
QRコードでの即日開通
データ通信専用eSIMは、eSIMなので申し込み後に提供されるQRコードやアクティベーションコードを端末に読み込むことで、利用を開始できる仕組みです。物理的なSIMカードの配送が不要なため、比較的スムーズに回線を準備できる点が特長です。
利用開始までの時間は事業者によって異なりますが、早い場合は申し込み後数十分から数時間程度で案内が届き、設定自体も短時間で完了するケースがあります。
なお、初期設定の際にはインターネット接続が必要となることが多いため、Wi-Fi環境を用意しておくと安心です。
3 データ通信専用eSIMでできないこと・注意点
データ通信専用eSIMは、インターネット接続に特化しているため、「電話番号を使う機能」が制限されます。そのため、契約前に「利用できないこと」を理解したうえで、必要に応じて音声通話SIMやアプリ通話などを組み合わせて利用することが重要です。データ通信専用eSIMでできないことを、事前に確認していきましょう。
電話番号を使う通話(090/080/070)
データ通信専用eSIMでは、携帯電話番号(090/080/070)を使った音声通話は利用できません。SIMに通話機能がついていないため、標準の電話アプリを使った発信や着信は行えないのが一般的です。
LINEやWhatsAppなどのアプリを利用した通話は、データ通信専用eSIMで利用できます。このように、「電話番号による通話」はできない一方で、「インターネットを利用した通話」は可能です。
※ 新規アカウントの作成はSMS認証が必要なためデータ通信専用SIM/データ通信専用eSIMではできません。
固定電話への発信や業務用途での通話が必要な場合は、あらかじめ音声通話が利用できる回線を併用すると、困りにくくなります。
SMS認証が必要なサービス
データ通信専用eSIMでは、SMSの送受信が利用できない、またはプランにより非対応なことがあります。そのため、銀行・証券・決済サービスやSNSなどの二段階認証で利用される、SMS認証が使えないケースがあります。SMSは日常的に使う機会は少ないですが、パスワードの再設定やログイン時の追加認証など、重要な場面で必要になることが多いです。万が一のトラブル時に備えて、SMSが利用できる環境を確保しておくことが望ましいといえます。
利用方法としては、音声通話SIM(SMS対応)を主回線として維持し、データ通信専用eSIMを補助的に利用する構成がおすすめです。
また、サービスによっては認証アプリなどSMS以外の方法に対応している場合もあるため、事前に確認しましょう。
緊急通報(110/119)
緊急通報は音声通話回線を前提としているため、データ通信専用eSIMでは利用できない場合があります。端末やネットワーク仕様によって例外もありますが、基本的には利用できない前提で考えておくことが重要です。
子どもや高齢者の見守り端末など、安全性を重視する使い方をする場合は、データ通信専用eSIMのみで運用するのではなく、音声通話回線を併用することが推奨されます。
特に、緊急時の連絡手段を確保しておきたい場合は、あらかじめ複数の通信手段を用意しておくと安心です。
iMessage/FaceTimeの番号紐付け
iPhoneのiMessageやFaceTimeは、電話番号での利用を設定する場合、音声通話回線が必要となります。そのため、データ通信専用eSIMのみでは、電話番号を使ったiMessage/FaceTimeの送受信や発着信が、想定どおりに利用できない場合があります。
Apple ID(メールアドレス)を利用した設定にすると、データ通信を使ったiMessageやFaceTimeが利用可能です。
デュアルSIMでiMessage/FaceTimeを利用する場合は、どの回線を通話やSMSに使用するか、またデータ通信をどちらに割り当てるかによって挙動が変わります。
まずは、通話やSMSが必要な回線を主として設定し、データ通信専用eSIMをデータ通信に割り当てることで、デュアルSIM運用を整理しやすくなります。
4 データ通信専用eSIMが向いている人
データ通信専用eSIMは、通話やSMSの手段を別に確保している方に適した選択肢です。
ここでは、利用目的ごとに向いているケースを整理します。
サブ回線でデータ容量を増やしたい人
主回線のデータ容量が不足する場合に備えて、補助的に回線を追加したい方には、データ通信専用eSIMが適しています。必要な分だけデータ容量を追加する使い方のため、通話やSMSの制約が大きな課題になりにくいです。
また、混雑時間帯に遅くなる回線を使っている場合、別系統の回線をサブで持つことで、体感速度が改善されることがあります。デュアルSIM対応端末であれば、用途や状況に応じて回線を切り替えて使うことも可能です。
このように、単に容量を補うだけでなく、通信が不安定になりやすい場面への対策としても活用できます。
海外渡航で現地回線を使いたい人
海外では、渡航用のデータ通信専用eSIMを利用して通信を確保する方法があります。
物理SIMを差し替える必要がないため、日本のSIMカードを保管したまま利用でき、紛失リスクの軽減にもつながります。また、ローミング料金が高額になりやすい契約では、渡航先専用のデータeSIMを利用することで、通信費を抑えられます。
タブレット・モバイルルータで使いたい人
iPadなどのタブレットやモバイルルータでは、通話機能を必要としないため、データ通信専用eSIMが適しています。端末がeSIMに対応していれば、SIMカードの差し替えを行うことなく回線を追加できます。
利用前には、端末がeSIMに対応しているかに加えて、回線の対応周波数(バンド)と端末の対応状況が一致しているかを確認することが重要です。対応していない場合、設定が完了していても通信が利用できないことがあります。
5 デュアルSIMで使うメリット
データ通信専用eSIMは、デュアルSIMで利用することで特長を活かしやすくなります。
デュアルSIMとは、1台の端末で2つの回線を利用できる仕組みです。データ通信専用eSIMは、通話回線と役割を分けて使いやすいため、デュアルSIMとの相性が良いです。1台のスマートフォンで複数の回線を使い分けることで、コストや通信の安定性、運用のしやすさといった点でメリットが得られます。
メリット1:通信料金を節約できる
通話は音声通話回線、データ通信はデータ通信専用eSIMで役割を分けることで、月額料金を抑えられる場合があります。1つの回線ですべての機能をまかなうよりも、それぞれに適したプランを組み合わせることで、無駄を減らせます。
例えば、通話は必要最低限のプランにし、データ通信は容量単価を重視したプランで補うといった使い方があります。データ通信専用eSIMの方が安価なため、デュアルSIM運用をした方が、結果的に通信費が安くなることがあります。
メリット2:回線障害・電波が弱い場所のバックアップ
通信が一時的に利用しにくくなるリスクを軽減できる点は、デュアルSIMのメリットの一つです。異なる回線を併用することで、片方の回線に障害や混雑が発生した場合のバックアップとして利用できます。
また、電波状況は場所によって異なるため、同じ場所でも回線の種類によってつながりやすさが変わることがあります。自宅や職場、移動中などで通信スピードに差を感じる場合には、別の回線を組み合わせることで改善が見込めます。端末の設定で回線名を分かりやすくしておくと、必要なときにスムーズに切り替えやすくなります。
メリット3:仕事用・私用の回線分離
デュアルSIMを活用することで、仕事用と私用の通信を分けて管理することができます。
業務に関わるアプリやテザリングを特定の回線にまとめることで、データ通信量の把握や費用の管理がしやすくなります。また、業務用回線を固定することで、フリーWi-Fiへの依存を減らしやすくなり、セキュリティ面での安心感につながる場合もあります。外出先での利用が多い場合におすすめです。
なお、データ通信専用eSIMは電話番号を持たないため、通話やSMS認証が必要な場合は音声通話回線を併用する必要があります。業務上SMS認証が必要なサービスを利用している場合は、音声回線側で対応できるよう設定しておくと安心です。
6 申し込みから開通までの流れ
データ通信専用eSIMは、オンラインで手続きが完結しやすく、比較的スムーズに利用を開始できる点が特長です。利用する端末の対応状況や事前準備によっては、設定途中でつまずく場合もあるため、基本的な流れをあらかじめ確認しておくと安心です。
IIJmioのデータeSIMを例に、申し込みから開通までの流れを紹介していきます。
①申し込み前に用意するもの
本人確認書類、クレジットカードなどの支払い手段、メールアドレスを用意します。
また、利用する端末がeSIM対応端末であることを確認しましょう。
初期設定時にはインターネット接続が必要となるため、Wi-Fi環境をあらかじめ用意しておくとスムーズです。
②eSIMの発行とQRコードの受け取り
IIJmioの公式サイトのトップページ右上にある「ご購入・お申し込み」から、データeSIMを申し込みます。申し込みが完了するとeSIMプロファイルが発行され、アクティベーションに必要なQRコードなどを表示するためのURLが、登録したメールアドレス宛に送られてきます。
QRコードを読み取るために、eSIMを利用する端末とは別の端末(スマホやパソコン、タブレット)を用意し、そのQRコードを表示しておくと便利です。
③iPhoneのeSIM設定手順
iPhoneでは、「設定」アプリから「モバイル通信」を選択し、「eSIM」をタップしてQRコードを読み取ることで設定できます。
読み取り後に回線に名前(例:データ用、海外用など)を付けておくと、後から識別しやすくなります。
デュアルSIMで利用する場合は、音声通話に使用する回線と、モバイルデータ通信に使用する回線をそれぞれ指定します。
一般的には、データ通信専用eSIMをモバイルデータ用として設定します。
設定後は、Webサイトの閲覧が正常に行えるかを確認し、必要に応じてテザリング機能も動作確認しましょう。IIJmioの公式サイトには詳細な手順が載っていますので、参考にしてみてください。
APN設定が必要なケース
eSIMプロファイルを追加しても通信が利用できない場合、APN設定が必要となることがあります。APNとは、インターネット接続に必要な設定情報のことで、キャリアごとに指定されています。Android端末では手動で入力する場合が多く、iPhoneでは構成プロファイルのインストールで設定するケースが見られます。
入力する内容は、契約したキャリアの案内に従い、正確に設定することが重要です。
7 eSIMのよくあるトラブルと対処法
eSIMは物理SIMの差し替えが不要で手軽に利用できる一方で、QRコードの読み取りやプロファイルの管理など、設定面でつまずく場合があります。
ここでは、よくあるトラブルと確認のポイントを整理します。
eSIMのトラブルは、端末の設定、プロファイルの状態、回線の開通状況など、複数の要因で発生することがあります。そのため、原因を一つずつ確認していくことが重要です。
QRコードを読み込めない
QRコードが読み込めない場合は、まずQRコードを表示している端末と、読み取る端末が同一でないかを確認します。同じ端末で表示している場合は読み取れないため、別の端末で表示するか、印刷して利用します。
次に、カメラの設定(権限、ピント、明るさ)や通信環境を確認します。
QRコードの読み取り自体は可能でも、その後の設定にはインターネット接続が必要になることがあるため、Wi-Fi環境があるとスムーズです。
それでも読み取れない場合は、QRコードの有効期限や利用状態を確認します。
キャリアによっては、アクティベーションコードや専用情報を手入力できる場合もあるため、案内を確認して対応すると解決につながることがあります。
圏外・通信できない
圏外や通信ができない場合は、まず回線が有効になっているかを確認します。
端末の再起動や機内モードのオン/オフを切り替えることで改善することがあります。
デュアルSIMの場合は、モバイルデータ通信に使用する回線が別の回線に設定されていないかも確認が必要です。
データ通信専用eSIMをデータ回線として指定し、必要に応じてデータローミングの設定も確認します。
また、キャリアによってはAPN設定が必要な場合もあるため、設定手順を見直してみましょう。
プロファイルを削除してしまった
eSIMのプロファイルを削除した場合は、再発行手続きが必要になることが多いです。
物理SIMのように再度差し込むことができないため、復旧には事業者での手続きが必要となる点に注意が必要です。再発行には手数料がかかる場合や、回数制限が設けられている場合もあります。そのため、あらかじめ契約内容を確認しておくと安心です。
eSIMの削除を行う前には、機種変更や回線切替の手順を確認し、必要な情報を準備しておくことが大切です。可能であれば、サポートに相談してから対応を進めると、トラブルを避けやすくなります。
機種変更時のeSIM移行
機種変更時のeSIMの移行方法は、端末やキャリアの対応状況によって異なります。
一部の端末ではeSIMの転送機能が利用できる場合がありますが、すべての契約で対応しているわけではありません。
基本的には、旧端末のプロファイルを削除する前に、移行方法を確認しておくことが重要です。キャリアの案内に従い、新しい端末での設定準備を整えてから手続きを進めると、スムーズに移行しやすくなります。
移行後は、通信が正常に利用できるかを確認し、必要に応じてデータ通信の優先回線やテザリング設定も見直します。あらかじめ一連の確認を行っておくと、機種変更直後のトラブルを防ぎやすくなります。
8 まとめ:データ通信専用(データのみ)eSIMはサブ回線に最適
データ通信専用eSIMは、インターネット利用に特化したサービスとして、コストを抑えながら比較的手軽に導入しやすいです。オンラインで手続きが完結することが多く、必要なタイミングで回線を追加しやすい利便性もあります。
データ容量の追加や海外渡航時の通信手段、タブレットでの利用、あるいは通信のバックアップ回線として活用したいときは、IIJmioのデータeSIMと海外eSIMがおすすめです。目的に応じて、eSIMを取り入れてみましょう。